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岩手の四季の彩りふんだんに。 郷土のもてなしの思いを込めた料理に癒される宿

四季亭(つなぎ温泉)

 

東北自動車道盛岡ICから車で20分ほど、盛岡の奥座敷といわれる繋温泉は開湯900年の歴史ある温泉です。湖畔に並ぶ高層の温泉宿を見ながら御所湖にかかる大橋を渡り、温泉街の一番奥へ。数寄屋造りの和風旅館「四季亭」は、客室22室のプライベート感のある落ち着いた雰囲気の宿です。

繋温泉は、単純硫黄泉で温まりの湯であると同時に、温泉ファンならご存知の美肌成分「メタケイ酸」が多く、お肌しっとり美肌の湯。温泉街には足湯(3か所)や手湯(1か所)の湯めぐりも楽しめます。

「お湯の良さは自慢です。帰り際に『足腰の痛みが楽になった』『四季亭さんのお湯が一番』と声を掛けられると、うれしいですね」と話すのは、柔らかな笑顔が印象的な女将の中嶋悦子さん。豊富で良質なお湯はもちろん、この宿ならではの温かいおもてなしに癒されるとリピーターが多いお宿です。

四季亭

岩手食材の豊かさを知る。素材を生かした繊細な懐石料理

四季亭では食事用に用意された個室で、旬の彩り豊かな岩手の食材をふんだんに使った懐石料理を楽しめます。料理長の千葉渉さんは、花巻市出身。「季節感を表現できて、盛り付けが華やかで美しい」と和食に惹かれ、21歳の時に四季亭に入社。前料理長のもと20年以上腕を磨き、4年前から料理長を務めています。

味の土台となる出汁には、枕崎産本枯鰹節や宗田鰹厚削りのほか、地元の山田産飛魚焼き干し、三陸産昆布といったこだわりの素材を使用。「尊敬する前料理長から教わってきた和食の基本に忠実に、岩手の食材の豊かさを表現することを大切にしています」と千葉料理長。

温かいものは温かく、冷たいものは冷たいうちに。もてなす料理人の心が伝われる料理を

岩手といえば、前沢牛などのブランド牛、三陸の海の幸はよく知られていますが、春にはこごみ、しどけ、タラの芽、姫竹などの山菜、秋は岩泉の松茸をはじめ、マイタケ、アミタケなど山の幸が豊富。夏油高原のアスパラ、北上市の二子芋(ふたこいも)など畑からも季節ごとに逸品が届きます。

三陸の海鮮は遠方からのお客様に特に喜ばれるそうで、「これからの季節はタラキク(たらの白子)がたまらなく美味しいですよ。宮古の毛ガニは、年が明けてからの方が身が詰まって甘味が出ます。桜の季節に出てくるのが、『花見かき』というブランド牡蠣。びっくりするほど大きくて旨みのある身が詰まっています」。朴訥とした雰囲気の千葉料理長ですが、岩手の食材となると話は尽きず、熱い思いが伝わってきます。

今年3月に宮古盛岡横断道路が開通したことで、宮古にあるグループ会社(浄土ヶ浜パークホテル)から、三陸の殻付きのウニやアワビ、牡蠣が約1時間で直送されるようになり、より鮮度良いものを提供できるようになったとのこと。取材の日も三陸のウニがたっぷりと使われ、岩手の旬を堪能できるメニューでした。

風土と人が紡いできた食文化・郷土料理を味わう

郷土料理のいちご煮。お品書きには「(貝類から出る)乳白色の汁の中のウニが、朝もやに霞む野イチゴのように見えたために名付けられた」と豆知識も

また、「土地で取れたものを土地に伝わる料理で楽しんでもらいたい」と、メニューには岩手の食文化を伝える郷土料理も欠かせません。訪れた日に供されたのは、ウニやアワビ、ホタテが入った「いちご煮」。三陸沿岸部のお祝いの席などで出される潮汁で、四季亭こだわりの出汁や隣県・秋田の特産のジュンサイも入ったオリジナル。豪華な海鮮食材の旨味に加え、じわりと体に染み入るようなやさしさにも風土を感じる味わいです。

岩手のお酒が充実のラインナップ。繋温泉のオリジナル日本酒も

多彩な料理にも合わせて楽しめる、岩手の蔵元の「飲み比べセット」も用意している

さて、料理と合わせて楽しむお酒について。岩手には、日本酒やワイン、ビールなど地元にお酒のつくり手が多く、ドリンクメニューには「くずまきワイン」(葛巻町)「エーデルワイン」(大迫町)、「南部美人」(二戸町)、「浜千鳥」(釜石市)「あさ開」(盛岡市)など、ずらりと岩手産が並びます。
あれこれ迷ってしまいますが、繋温泉でしか飲めない(販売していない)日本酒にも注目を。水神をお祀りしている地元の藤倉神社に沸く「藤倉清水」を使用、県産米と御所湖に咲くコスモスの花酵母を使った特別純米酒「繋駒(つなぎこま)」(廣田酒造店醸造)は、やや辛口の柔らかな口当たり。お米の風味が生きているのが特長で、お土産に買う方も多いそうです。
純米大吟醸、大吟醸、純米吟醸を少しずつ味わえる「飲み比べセット」があるので、岩手のいろいろなお酒を楽しみたい人や、山の幸から海の幸まで多彩な料理と少しずつ合わせて飲むのにお薦め。和食には日本酒が合いそうですが、前沢牛のしゃぶしゃぶや、クリームチーズ入りの白和えにはワインも合わせて楽しめます。

繋温泉限定の特別純米酒「繋駒」。やや辛口で旨味のある味わいは真鯛の塩焼き・海老のウニ焼きとともに

四季折々に楽しむ癒しの時間。また来たくなる宿

「季節ごとに訪れてくれるリピーターの方も多いので、新しさも取り入れながら、また来たいと思ってもらえる料理を目指します」と千葉料理長。「温泉街の奥まで、四季亭を訪ねてくれるお客様は『上質さ』を求められていると思います。これからもその思いを大事にしていきたい」と女将。風の音、雨の音も心地よく感じる程よい自然に囲まれ、ご夫婦や友人同士、また一人でも自分を労るゆったりした時間。心満ちる休日旅にお薦めです。

最後に周辺スポットを紹介します。繋温泉から車で5分ほどの「盛岡手づくり村」(盛岡市繋字尾入野64-102)は、南部鉄器や漆芸などの盛岡地域の代表的な伝統工芸品の工房14軒が集まった村。手づくり体験も楽しめるほか、菓子や食品など特産品が豊富に並ぶのでお土産選びにも便利。

盛岡の地ビールの先駆けとして知られる「ベアレン醸造所北山本社ブリュワリー」(盛岡市北山1-3-31)は、直売所や見学ルームもあります(内部設備の見学には予約が必要)。商品数が豊富でビアグラスなどのベアレングッズも人気です。

四季亭(つなぎ温泉)

基本情報
施設名
つなぎ温泉 四季亭
所在地
盛岡市繋字湯の館137
電話番号
019-689-2021
料金(目安)
27,500~
客室数
22
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