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「ただいま」が言いたくなる、おもてなしの宿 青森・浅虫温泉「旅館 小川」

浅虫温泉 旅館 小川(女将と若女将)

 

平安時代、慈覚大師によって発見されたといわれる浅虫温泉。以来、布を織る麻を蒸すためだけに使われていたそうですが、1190年にこの地を訪れた円光大師が、傷ついた鹿が湯浴みするのを見て村人に入浴をすすめたことで、以降青森きっての湯治場となりました。昭和の時代には、日本を代表する版画家である棟方志功が毎年逗留した温泉地としても知られるようになりました。

その浅虫温泉で、一日4組までのプライベートな宿が「旅館 小川」です。

浅虫温泉 旅館 小川

「旅館 小川」のエントランス。手作りの灯篭が出迎えてくれます

お客さまの気持ちに寄り添うー。創業時から変わらぬ理念

「旅館 小川」の創業は、現在の女将である小川牧子さんの曽祖父の時代にまで遡ります。「私の父は早くに父親を亡くして、私にとっての曽祖父に育てられたんです。曽祖父は、鰊漁師のトップをやっていた人で、今宿がある場所の向かいに湯治のための別荘を持っていたんですね。戦後の農地改革で土地を取り上げられてしまったこともあって、『じゃあ、この場所で宿をやろう』と、父と祖母とで始めたのが、この旅館の始まりなんです」と、牧子さん。

浅虫温泉 旅館 小川

女将の小川牧子さん(右)と若女将の嘉奈子さん。仲良し母娘で旅館を切り盛りしています

宿屋の経験など皆無の創業者ではありましたが、牧子さんは「お客さまの気持ちにとにかく寄り添う、ということをしていました。今でも鮮明に覚えているのが、ある日厨房で祖母がカレーライスを作っていて。『なんでカレーを作っているの?』と聞いたら、『あの人のお家では甘いカレーしか出てこないんだけど、お婿さんだから辛いカレーが食べたいって言えないんだって。だから、ここで辛いカレーを食べさせてあげたいの』って。そのお客さまに寄り添う、というのは今も大切にしています」。

まるで親戚の家に遊びに来たような、居心地の良い空間

現在、「旅館 小川」は牧子さんと娘の嘉奈子さんの二人で切り盛りしています。嘉奈子さんは「今はコロナで地元のお客さまがほとんどです。10名以上なら貸切になるので、修学旅行でもご利用いただきました。小学生の宿泊研修できてくれたんですけれど、その中の一人がうちに親御さんを連れてきてくれたんです。来たときにお手紙をくれて、帰ってからもお手紙をくれました。すごく嬉しいですよね」。

浅虫温泉 旅館 小川

あたたかな光に包まれている館内

牧子さんも「うちは、お子さんのリピーターさんが多いんです。嘉奈子がお子さんたちに人気なんです」と笑います。嘉奈子さんは「迷子にならない広さだから、お母さんたちも安心していただけるのかもしれません。部屋食にも対応しているので、赤ちゃん連れでもゆっくり過ごしてもらえます」と話します。

浅虫温泉 旅館 小川

ジャズの流れるモダンな雰囲気のダイニング

センスのよい調度品に囲まれたダイニングにはジャズが流れ、初めて来たのに、ゆるゆると気持ちが緩んでいくのがわかります。まるで、親戚の家に遊びに来たかのような、居心地のよい空間。リピーターが多いというのも、納得です。

手間暇かけるから、沁みるほどにおいしい

牧子さんと嘉奈子さん、二人で立つ厨房では、地元の旬の食材を使用した家庭料理をこしらえます。牧子さんは「常連さんの夕食を献立を考えるのは、毎回頭を悩ませます。うまくお好みに当たるときもあるし、はずれる時もあって。」と笑います。

浅虫温泉 旅館 小川

大好評の朝食。これを食べずして「旅館 小川」は語れません

「でも父の代からの朝ごはんのメニューは、ずーっと変わらずにお客様にお出ししています。”ザ・朝ごはん”だとご好評いただいているんです」

いつも変わらない朝食メニュー。嘉奈子さんも「うちの料理は、朝食を食べていただいて完成なんです」と胸を張ります。煮干しと昆布で濃いめにとった出汁でつくる煮物と味噌汁、そしてまさに日本の朝食!といった趣のおかずの数々に、驚くほど白飯が進みます。

旅人が求めるすべてが、ここにある

一方で、毎回メニューを変えるという夕食には、海の幸がずらり。刺身盛りは、大間のマグロや牧子さんの同級生のホタテ漁師から購入しているという平内町のホタテなど、驚くほど豪華な内容でした。

浅虫温泉 旅館 小川

ある日の夕食メニュー。常連のお客さまには、毎回内容を変えて提供しています

この刺身や鯛鍋に合わせたいのが、”青森の至宝”との呼び声高い、銘酒「田酒 特別純米」の山廃仕込。そのままで飲むと「さっぱりしたお酒」という印象の「田酒」は、食事と合わせることで、その底力を魅せてくれます。特に、脂の乗ったマグロに合わせたときの、爆発的な旨さといったら!マグロの旨味を最大限に引き立たせてくれ、口の中ではふくよかで、喉を通るときにはすっきりと。これだけで、「ああ、ここに来てよかった」と思えます。

浅虫温泉 旅館 小川

刺身と鯛鍋には、「田酒 山廃仕込」を。魚とのマリアージュで驚くほどの美味さに

また、前菜と合わせるのは、”最高の食中酒”とファンが多い「豊盃 純米吟醸」。こちらは「県内外問わず、お好きな方が多いのでご用意しています」と嘉奈子さん。ふっくらとした甘味が、酢の物などのおいしさを引き立てます。

浅虫温泉 旅館 小川

県内のお客様のリクエストで置いている「豊盃 純米吟醸」。ふっくらした甘みが特長です

そして、「旅館 小川」の名物料理「りんごのグラタン」には、弘前市の六花酒造株式会社の「じょっぱり梅酒」をマリアージュ。青森県産の梅を使用した、すっきりした味わいの梅酒は、甘さ控えめで、食中酒としてもおいしくいただけます。

浅虫温泉 旅館 小川

旅館の名物料理「りんごのグラタン」には、「じょっぱり 梅酒」を

牧子さんは「初回のお客さまに必ずお出ししているのが、この『りんごのグラタン』なんです。りんごの中にホタテを詰めて、皮ごと焼くんですけれど、焼きりんごから滲み出た果汁とホタテのグラタンのうまみが合い、想像以上においしいんですよ」と。

浅虫温泉 旅館 小川

時間入れ替え制の風呂は、のんびり寛ぐのにちょうどいいサイズ

心尽しの料理に、心も体も温めてくれる湯、そしておもてなしを心から楽しんでいる牧子さんと嘉奈子さん。「旅館 小川」には、旅人の求めるすべてが詰まっていました。翌朝、宿自慢の朝食をいただいてチェックアウトをする頃にはきっと「今度はいつ来ようか」と考えていることでしょう。次に「ただいま」と言える日までの活力をくれる宿、それが浅虫温泉の「旅館 小川」です。

「旅館 小川」で過ごしたら、四季折々の浅虫を楽しんでみてはいかがでしょう。

春は、6月頃から開園する「海釣り公園」へ。手ぶらで海釣りを楽しめるスポットで、初心者でも安心して楽しめます。
夏は、目の前に広がるビーチでの海水浴。SUPやシーカヤックといったアクティビティも楽しめます。また、浅虫ダムに現れる3種類のホタル、7月の花火大会、そして浅虫温泉ねぶた祭りとイベントも目白押しです。
秋は、森林百選に選ばれている森林公園で落ち葉を踏み締めながらの散策を楽しみ、息を呑むような美しさの夕焼けを堪能してください。
冬にはスノーシューなど雪のアクティビティも楽しめます。

四季の自然を楽しむとともに、ぜひ「小川」を訪れてみてください。きっとお二人の笑顔が待っているはずです。

基本情報
施設名
旅館 小川
所在地
青森県青森市大字浅虫字山下280
電話番号
017-752-3202
料金(目安)
14,300円〜(税込 入湯税込)
客室数
4
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