震災復興のシンボルになった 最高級ブランド「ミガキイチゴ」

2022年1月4日

 

宮城県山元町。いちごの一大生産地として知られるこの町に、震災復興の象徴ともなったいちごがあります。それが、農業生産法人GRAのつくりだした「ミガキイチゴ」。「11,000円」で大きな話題となったことを憶えている方も多いのではないでしょうか。

GRAいちご

生まれ故郷をどうにかしないと―その想いから生まれた農業法人

農業生産法人GRAの代表取締役の岩佐大輝さんは、山元町の出身です。子どものころからプログラミングに慣れ親しみ、高校卒業後は、大学に通いながらホームページの制作やシステム開発の仕事を請け負っていました。24歳のときには、個人事業を法人化し、IT企業の社長として多忙な日々を送ることに。そんな岩佐さんを大きく変えたのが、あの東日本大震災でした。

発災当時、東京にいた岩佐さんは、翌日には車に救援物資を積み込み、山元町に向かいました。そして、その目に飛び込んできたのは、あまりに無残な故郷の姿でした。

「山元町を、生まれ育った故郷を、どうにかしないと」。岩佐さんは、震災翌週から被災地でがれき撤去のボランティアを始めました。仲間と汗を流す中、「ビジネスとして新しいいちご農業を確立し、継続できるスキームを構築すれば、雇用を生み出すこともできる。若い人も集まってくれるのではないか」。そんな思いが頭をよぎりました。

GRA

いちごに特化し、地域ぐるみで発展を目指す

20117月。岩佐さんは、農業法人GRAを設立し、いちご栽培35年のベテランの指導を仰ぎながらいちご栽培を開始しました。温度や湿度の管理など、これまでベテラン農家が経験や勘で行ってきたものをITの力で数値化しました。岩佐さんは「もともとここは、燦燦園の深沼さんや山元いちご農園の岩佐さんに教えてもらいながら始めたところです。創業から7年間は、地域のラボの役割を請け負っており、研究成果はオープンにしていていました。私たちが実証したものは山元町や亘理町の農家さんに使っていただけるようにしているんです」と話します。

そして2012年、山元町といういちご栽培に最適な場所とIT、そしてベテラン農家さんの知見と技術のすべてが掛け合わさった最高級ブランド「ミガキイチゴ」が誕生しました。品種に関わらず、色、形、大きさ、そのすべてで一定の基準をクリアしたものを「ミガキイチゴ」とし、プラチナ、ゴールド、シルバー、レギュラーを展開。話題になった11,000円のプラチナは、500粒にひとつというエリート中のエリートいちごです。

現在、GRAでは、とちおとめ、よつぼし、そして自社オリジナルのはなみがきの3種を栽培しており、毎日すべての品種、すべての農場からサンプリングをしています。「いちごは非破壊検査ができないので、破壊して糖度、酸度を計測し、品質管理をしています。その上で、人の手で選果を行うんです」と、岩佐さん。

実際に選果の作業場を見学させていただくと、収穫したいちごをいちごを冷蔵庫で冷やしてキュッと引き締め、その上でベテランのお母さんたちが目で見て、重さをはかり、一粒一粒箱詰めされていました。

GRA

町の農業所得アップでローカルの成功モデルに

町全体をあげてのいちごのPRも功を奏し、山元町の町民所得は、震災前の1.4倍にひきあがりました。「町全体がいちご一本足打法のような形で取り組めたおかげで、農業所得が上がり、ひいては町民の平均所得が上がったのだと思います。山元町は、宮城県内の高齢化率はワースト2位で、40%が高齢者。それでも、所得は県内でも真ん中あたりにいる。これって、地方におけるひとつの成功モデルになるのではないかと考えています」。

故郷をどうにかしないと――。その一心で農業法人を立ち上げ、駆け抜けた10年。「もともと、あまりうまくいっていなかった地域が震災で大変なことになって、マイナスをゼロに、それをプラスに持っていくモメンタムをつくるのがこれまでの10年でした。これからの10年は、それを昇華させて、地域として産業として一人前になっていく活動をしていきたいと思います」。

すでに岩佐さんは、海外でのいちご栽培の実証試験にも取り組んでいます。「マーケットがありそうで、『ミガキイチゴ』の品質を担保できる日本のいちごが栽培できそうな場所を選んでいます。コロナが終わったら一気に海外に出ていこうと思っています。いずれは海外のほうが、圧倒的に栽培面積が広くなっていくと思います」。

GRA岩佐社長

いちごの果実味をダブルで味わう

六次化にも力を入れているGRAでは、いちごのプロダクトのポテンシャルを限界まで引き出した商品も多々リリースしています。

ムスー(スパークリングワイン)もそのひとつで、テロワージュにぴったりの逸品です。ミガキイチゴをそのまま、あるいはいちごソースに仕立てて肉や魚と一緒にいただきながら、さわやかな果実味のハーモニーを味わってはいかが?

GRAムスー

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