仲間との協働でつくる新たな農業のカタチ

2021年11月2日

福島県石川町。寒暖差の激しい気候と豊かな土壌が豊穣の果実をつくりだすこの場所で、“新しい農業のカタチ”に挑戦している「大野農園」。代表の大野栄峰(よしたか)さんと彼の想いに共鳴した人たちが、日本全国へ極上の味を届けています。

 

農園を観光の目的地に

農家や果樹畑が並ぶ、のんびりとした雰囲気中にたたずむ大野農園の売店。果物はもちろんオリジナルの加工品もたくさん並び、平日昼にもかかわらず続々とお客さんがやってきます。
土日限定のフルーツピザも大人気で、これを目当てに遠方からやってくる人もいるほど。大野農園を福島観光のデスティネーションになるまでに育て上げたのは、2代目である大野さんです。東日本大震災当時は東京にいましたが、2012年に帰郷。「原発事故で福島県全域に風評被害が起こったため、父と母がやっていた大野農園をどうにかしないと…と思って。戻ってきたその年に法人化しました」。
タスクを分散して農業を継続的に発展させるために法人化し、その年に1名が入社。その後は、大野農園の指針・ビジョンを理解し、大野さんの思いに共鳴した人たちが集まるようになりました。

六次化には法人設立当初から取り組み、「最初はジュースやジャムから始めました。今は社内で企画コンペを行って、自分たちでやりたいことと世の中に求められるものを考えながら商品化しています」。その中には、生野菜やバゲットに塗るだけでなく、パスタソースにも応用できる『ファーマーズディップ』や、果実の酸のうま味を引き出した『フルーツピクルス』など、ほかにはないオリジナルの商品がずらり。土産品としてだけでなく、ギフトとしても需要の高い商品をうみだしています。

日本全国の農家と、手を携えて

自身が農業に携わるようになっていこう、「農業にはもっと発展の余地があるはずだ」と感じた大野さんは、そこに必要なものを探るため、福島県内各地域での農家の方々に話を聞いてまわりました。そこで見えてきた共通の課題は、“次の農業者がいない”ということ。福島の食文化の継承が途絶えてしまう危機感を抱いた大野さんは、同じ想いを抱える農家のみなさんと『COOL AGRI/クールアグリ』という団体を立ち上げ、次世代の農業者の創出のための活動を開始。
さらには規格外の果物の救済のために『フルーツカルチャープロジェクト』も発足させました。「2017年の雹被害で、70トンのりんごが傷ついてしまったんです。300グラム換算で23万個のりんごです。雹は局地的なのであまり報道では取り上げられないけれど、これは毎年どこかの地域で起きていること。傷があってもおいしく食べられるのに、農産物検査が見た目重視の欠点方式のため、価格がつかないのです。それでこのプロジェクトを立ち上げ、見た目重視ではない果物の販売を探ることにしました」。

思わず笑顔がこぼれそうになるほどにかわいらしい「おすそ分け袋」(通称:わけわけ袋)で、規格外の果物を提供する。この取り組みは、全国の農家にとっても“救いの手”になりました。「昨年も、この袋を熊本と長野に送りました。激甚災害で困っていらしたそうで、ご連絡をいただいたんです。自然災害は、明日は我が身。ものをつくっている者同士で頑張ろうね、という気持ちになれる仲間が各地に生まれたのは、この仕事のおかげですね」。 法人化や六次化、そして福島県内だけでなく、日本全国の仲間と手を携えて支えあい、他産業とも協働する…。大野さんは、この新たな農業のカタチで、後継者不足や廃棄問題など喫緊の課題に取り組んでいます。

オリジナルカクテルでテロワージュを愉しむ

フレッシュな果物はもちろん、独自に開発した商品も大きな魅力で、グルメでも高い評価を得ている大野農園。その大野農園でテロワージュとして提案したいのは、果物の酸味とうま味を引き出した『フルーツピクルス』に、福島産のりんごを原料につくられたシードルを合わせた、オリジナルのカクテル。果物のさわやかな酸味と、ほどよいアルコールでほろ酔いに。そのほか、クラッシュアイスに、ジンやラムなどのスピリッツを注ぎ、そこに『フルーツピクルス』の果肉とジュースを加えてほんの少しアルコール度数高めのカクテルにしても、リラクシングなバータイムが過ごせそうです。
次のお休みには、お家で家族や気の置けない友人を招いて、とびきりのテロワージュを愉しみませんか。

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