宮城のクラフトビール エトセトラ【旅のヒント】

2020年9月30日

近頃増えてきている宮城生まれのクラフトビール。地域の名を冠したその地ビールには、歴史を牽引するものからニューフェイスまでたくさんの種類が揃っています。作り手のこだわりが込められた“宮城発のクラフトビール”を総ざらい。

01.《宮城県大郷町》松島ビール/松島ブリューイングカンパニー

宮城最古のブルワリーが贈る多彩な味わい

 

1997年、宮城県初となるクラフトビール醸造場を立ち上げたのが「松島ブリューイングカンパニー」。宮城の地ビール界に道を作ってきた先駆者です。こちらで製造されるのは4種のビール。「ヴァイツェン」や「デュンケル」といった正統派だけでなく、通常のビールより麦芽を1.5倍使用した上でさらに2倍の時間をかけて熟成させた贅沢な味わいの「ボック」や、ドイツ麦芽とドイツ・チェコ産ホップを使用し、しっかりと感じる麦芽の香りと爽快感に富んだ「ヘレス」も製造しています。

敷地内には日帰り天然温泉施設「夢実の国(ゆめみのくに)」が併設されており、露天風呂も楽しめます。お風呂上りにクラフトビールで乾杯!なんて贅沢ですね。車で10分ほど北に行くと「道の駅おおさと」があり、新鮮野菜やお土産を買うこともできます。日帰りで楽しむのにちょうどよいドライブコースになりそうです。

02.《宮城県角田市》仙南クラフトビール/仙南シンケンファクトリー

世界基準の味わいを届け続ける

 

国際的ビールコンテスト「インターナショナル・ビアカップ」で2014年から連続受賞をしている「ヴァイツェン」をはじめ、2019年にはビールの国際品評会部門別の最高賞「カテゴリーチャンピオン」を受賞した「スタウト」などの名品を生んだ「仙南シンケンファクトリー」。ドイツやイギリスの厳選した麦芽や酵母をベースにドイツの伝統的製法で醸造するビールをつくり続けています。また、「古代米エール」や「ササニシキIPA」など、地場産ササニシキを副原料としたビールを製造しているのもこのブルワリーの特徴です。

敷地内には、ビアファクトリー(ブルワリー)の他に、ハム・ソーセージなど、地場産食材をふんだんに使用し、ビールによく合う料理を楽しめるレストランや、仙南クラフトビールをはじめ工場直売のハム・ソーセージや野菜などを販売するファクトリーショップ、ソーセージ作りなどが体験できる工房などがあります。仙台や福島から「阿武隈急行」で行くこともできるので、安心して生のクラフトビールが楽しますよ。

03.《宮城県加美郡加美町》やくらいビール/加美町振興公社

澄んだ水とドイツの伝統技法がおいしさのカギ

 

船形山麓の天然水とドイツの醸造技師から受け継いだ技術で、伝統の味わいを届ける「やくらいビール」。原料は水とホップ、ドイツ産麦芽のみ。余計なものを加えないその潔さに、クラフトビールの作り手の心意気がうかがえます。人気の「ピルスナー」は、爽快感が魅力のラガービール。クセがなく、アロマホップの華やかな香り苦味と爽やかな喉越しが楽しめます。苦味が少なくバナナのような香りが広がる「ヴァイツェン」も人気です。

近隣には四季折々の花や植物、広大な花畑で有名な「やくらいガーデン」や温泉施設、直売所があり、クラフトビールと合わせて、一日楽しめるエリアです。

04.《宮城県仙台市》穀町エール/穀町ビール

仙台初のクラフトビール、誕生!

 

丁寧な仕込みを通じて、無ろ過でしか味わえないビールのおいしさを届ける「穀町ビール」。定番商品は「穀町エール10」と「穀町ビール12」の2つ。「穀町エール10」はイギリス産のモルト、ホップ、エール酵母を使用。はちみつを使用し、ウィスキー香やイチジクのような果実の香りが感じられる一杯です。また、「穀町ビール12」はベルジャン酵母によるスパイシーさと甘みに満ちた味わい。どちらもビールグラスではなくワイングラスに注ぎ香りの変化も楽しむのがおすすめ。なお、商品名の数字はアルコール度数を表しています。

「穀町ビール」は、仙台市若林区にある荒町商店街から奥に入っていった住宅街にひっそりとあり、平日の月・木・金曜日限定でブルーパブ「ビア兄(ビアニーニ)」を開け、樽からビールを飲むことができます。代表の今野高広さんに、どんなおつまみと合うかなど、聞きながら飲むのもいいかもしれません。

20209月現在、ブルーパブ「ビア兄(ビアニーニ)」は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、営業を休止しているそうです。荒町商店街など、仙台の酒屋、お店でも購入することができます。公式WEBサイトなどで最新情報、販売情報をご確認ください。

05.《宮城県石巻市》巻風エール/一般社団法人イシノマキ・ファーム

人々のつながりが生んだ、宮城クラフトビール界の新星!

 

こちらのビールは、石巻・北上地区の住民とのワークショップなどを通じて生まれたというひと品。さらにつくり手自らが開墾した畑で収穫したホップを使用するという、手間ひまと作り手の愛情がたっぷりとかけられているのも特徴です。現在は、「ペールエール」と「Session IPA」の2種を製造。「ペールエール」はホップと酵母のフルーティな香りと苦味が広がり、「Session IPA」はさらに軽やかな口当たりを楽しめます。

自社のホップ畑の見学や農作業体験なども行っています。ホップの毬花(まりばな)は、軽くつぶすとビールの香りがふんわり漂います。そんな体験をしてみると、さらにビールが美味しくなりますよ。最新情報はぜひ「イシノマキ・ファーム」公式WEBサイトやSNSで確認してみてください。

06.《宮城県大崎市》鳴子の風/鳴子温泉ブルワリー

鳴子の自然が詰まった、個性的な味わいを堪能

 

吹上高原の上質な水を仕込み水に地元素材を用いた酒をつくる「鳴子温泉ブルワリー」。「高原ラガー」は大麦を発酵させた麦芽をふんだんに使った正統派ラガービール。また、やまぶどう果汁をたっぷりと使用したカクテルビア「山ぶどう」は琥珀色の美しい色合いとやまぶどうの香りでビールが苦手な人にも人気です。さらに地元産の米・ゆきむすびを使った、甘みと酸味が特徴的な発泡酒「ゆきむすび」も製造。

「オニコウベスキー場」エリア内にあり、冬のスキーはもちろん、温泉施設、夏のキャンプなど、自然を生かした魅力がいっぱい。自然豊かな鳴子の魅力がぎゅっと詰まった「鳴子温泉ブルワリー」に行ってみてはいかが?

 

醸造元の思いやこだわりが瓶に詰め込まれた宮城のクラフトビール。おいしさだけでなく秘めた思いまで感じられるからこそ、クラフトビールに魅了される人が多いのかもしれません。今日はいつもの缶ビールではなく、こんなクラフトビールを味わってみませんか? 宮城の風土やブルワリーの想いが詰まったクラフトビールの新しい世界が広がりますよ。

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